第28回 人文機構シンポジウム【妖怪空間 -でそうな場所-】(東京都 2016年6月11日)

東京都で開催された、第28回人文機構シンポジウムに出席してきました。
今回はズバリ妖怪がテーマ!
妖怪研究の第一人者 小松和彦先生のお話を伺えるとのことで、この日を楽しみに待っていました。

会場内は撮影・録音禁止でしたのでこれだけ。
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会場内に入ると、定員600名の会場は満席!
見回した感じ、10代~80代と幅広い年齢層の参加者。一番多いのは50代~60代くらいの印象です。
男女比は6:4といったところでしょうか。
人間文化研究機構のシンポジウムということで妖怪ファンばかりではないとはいえ、層の厚さに興奮します!

では簡単にですが、講演の内容をご紹介します。

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基調講演「妖怪の魅力はどこにあるのか?」小松和彦

魅力その1「歴史の長さ」
古くは古事記から、妖怪の記述がみられる。

魅力その2「絵の豊富さ」
多数の図画が描かれている。
酒呑童子や玉藻前など、悪役でありながら本のタイトルになっていたり。
日本人は昔から怖いものを恐れながらも愛する気質があるようだ。
現代の「ゴジラ」にも通じるものがある。

魅力その3「種類が多い」
現在まとめられているものだけでも1000種以上あるが、まだまだ網羅できていない。
たとえば「河童」は関東だけの呼び方。
地方によって名前が違ったり、性質や外見も異なっていたりする。

特に江戸時代以降は新しい妖怪も盛んに生み出された。
人間の気持ちを具現化した妖怪や、古い器物が妖怪になる付喪神など。

魅力その4「キャラクター化」
妖怪は恐怖の対象であったが、次第にキャラクター化されていき、愛される存在になった。
キャラクター化 = かわいい、身近におきたい → 身に着けるよう商品化 → 文化への浸透

魅力その5「人間世界を投影」
妖怪の世界と人間の世界は表裏一体。
人間社会を投影する道具としてしばしば妖怪が用いられてきた。

「でそうな場所」
妖怪は境界に出現しやすい。
例:稲生物怪録では壁、天井、垣根、縁側etc.から出現している。

昔のくみとり式便所はとても怖かった・・・
水洗になった現代でも、トイレの花子さんなどトイレの怪異は多い。

境界は物理的なものだけではない。
お経で結界をはる、など。

プレゼンテーション1「妖怪たちの秘密基地」齋藤真麻理

御伽草子「付喪神絵巻」を読み解く。
→妖怪となった古道具たちが人間に仕返ししようとする。
船岡山のちかくに住み着き、宴会をしたり栄華を極めるが最後には成仏するストーリー。

他の絵画や文学作品をとりこんだパロディが処々にみられる。
知識人たちに向けた遊びゴコロ満載。

プレゼンテーション2「家屋敷と妖怪」常光徹

屋根という「境界」

屋根から逆さまに覗く – 恐怖パターンのひとつとして、現代に至るまで定着している。
『春日権現験記絵』に、屋根から家のなかを逆さまになって覗く鬼の絵。
昔話『食わず女房』 老婆が屋根から下をのぞいてくる。
現代でも、怪談話「ボンネットの幽霊」や都市伝説「ホテルの自殺者」など

破風を出入りする妖怪
源頼光四天王のひとり、渡辺綱が出会った鬼は、斬られた後破風から逃げた。

食わず女房の鬼は、破風から侵入し、破風から出て行った。

庭木の禁忌
いくつかの地方では、家より高い木を庭に植えるのはタブーとされる。
屋根を超えるという、制御できない存在を嫌ったのではないか。

蚊帳と幽霊
蚊帳を覗き込む幽霊の話は定番のモチーフ。
幽霊は蚊帳の中に入ってこれない。結界の役割を果たしている。

プレゼンテーション3「妖怪が狙う身体部位」安井眞奈美

かつて病気は、悪霊が体に入り込んでおきると考えられていた。

怪異・妖怪伝承データベースの伝承に出てくる身体部位を調べた。

1位 足
2位 手
3位 目

1位、2位
手足を駆使して労働をおこなっているうちに怪我をする機会も多く、その原因が妖怪や怪異現象とみなされる場合が多かった。

3位
目をはじめとして、鼻、耳、口などの開口部は妖怪が侵入する入口と考えられていたのでは。

そのほかに、背中があげられる。
背後は死角になり、不安な場所。
背負っている子供を悪霊から守るため、おんぶ紐に魔除けをつける習慣が世界各所でみられる。

パネルディスカッション

講演内容への質問や補足など、対談形式でおこなわれました。

 

 

4名の先生方の興味深いお話を一度にうかがえる貴重な機会でした。
特に小松和彦先生のお話は聞きやすく・分かりやすく、非常に楽しかったです!

 

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